「行政書士ってどんな事ができるの?」と、案外聞かれる事が多いので、まだまだ世間に仕事の範囲が理解されてないかな・・・と思う機会があります。そこで、行政書士の独占業務について行政書士法には以下のように規定されています。

「1 官公署に提出する書類の作成、

 2 権利義務に関する書類の作成、

 3 事実証明に関する書類の作成 」

この三つに関し、原則として行政書士しか業務として行ってはいけないということになります。が、正直言って分かりにくいので、士業間の関係を図にしてみるとこのような感じです。 

 行政書士の作成する書類は、簡単な届出書類から複雑な許認可手続きにまであり、3千から1万種類に及ぶと言われます。その広い守備範囲の先へ至るときは、他士業と連携して対応するようになります。

 つまり市民法務として、相談窓口のような・・・例えるならホテルのコンシェルジュみたいな立ち位置です。役所の申請や書類作成を相談するなかで、訴訟に発展すれば弁護士へ繋ぎます。また、登記申請が必要になれば司法書士と連携し、記帳代行をしていたご商売を株式会社化する際は、税理士や社労士・公認会計士をご紹介します。

 現実のケースに近いところでは、ドラマや漫画で「カバチタレ!」という話があります。この主人公が行政書士として活躍していました。

 例えば、離婚について考えてみましょう。結婚しても残念ながら離婚したいとなった場合、お互いに話し合った末に手続きになります。問題なく話し合いが進めば協議離婚となり、行政書士が書類のプロとして離婚協議書、離婚契約公正証書作成を請け負います。(行政書士の業務範囲に限り相談も可)話し合いでは結論が出ず、こじれた場合に第三者(家庭裁判所)が介入して離婚を成立させます、この場合は弁護士に相談する必要があります。

 それでは実際どうかというと…、9割弱が協議離婚となっており、行政書士に相談して手続きが済むケースがほとんどです。日本では互いに話し合い、「まるくおさめる」ことで争いにしない方が多くなっています。そこで、将来トラブルにならないよう、お互いの未来のために相談したいケースでは行政書士が活躍しています。

行政書士は裁判はしない=予防法務の専門家。

 最後に、法律家=”弁護士”とイメージがあると思います。その弁護士と比較して”行政書士”の職業範囲を知っていただければ幸いです。意外とどちらに相談しても良いケースがあります。迷った時には、気軽に相談できる方を選んでいただければ良いと思います。実際の現場では互いに連携し、書類の作成・取得・申請をしています。

弁護士と行政書士(弁護士会などの資料参考)

問題

相談内容

弁護士

行政書士

 

 

 

 

離婚

離婚協議書作成・相談

 

離婚に伴う養育費・財産分与・慰謝料等の支払を求める書類の作成・相談

 

夫婦関係調整(離婚・円満)調停申立書等や離婚請求訴訟の訴状

不可

 

離婚問題における相手方との交渉代理・相談

不可

 

夫婦関係調整(離婚・円満)調停や離婚請求訴訟における代理・相談

不可

男女間

慰謝料等の支払を求める書類の作成・相談

 

示談書の作成・相談

不可

 

慰謝料等の支払を求める調停申立書等・損害賠償請求訴訟における訴状・相談

不可

 

慰謝料等の請求に関する相手方との交渉代理・相談

不可

 

慰謝料等の支払を求める調停や損害賠償請求訴訟における代理・相談

不可

遺言・相続

遺言書の作成のための相談

 

遺産分割協議書の作成・相談

 

遺産分割調停申立書等の作成

不可

 

遺産分割・遺留分減殺請求における他の相続人との交渉代理

不可

 

遺産分割調停や審判・遺留分減殺請求調停における代理

不可

 

遺産範囲確認請求・遺言無効確認請求・遺留分減殺請求等の訴訟における代理

不可

債務整理

自己破産・個人再生申立て

不可

 

任意整理

不可

 

過払金回収

不可

交通事故

自賠責保険金の請求・相談

 

任意保険会社その他に対する損害賠償請求についての交渉代理

不可

 

加害者に対する損害賠償請求訴訟における代理

不可

行政書士の業務範囲

・官公署に提出する書類(例)建設業許可申請書、飲食店営業許可申請書等の作成

・権利義務に関する書類(例)各種契約書、入居申込書等の作成

・事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)(例)履歴書、身分証明書、許可申請書添付の見取図等の作成

・官公署に提出する書類を官公署に提出する手続について代理すること

・官公署に提出する書類に係る許認可等に関して行われる聴聞又は弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続において当該官公署に対してする行為について代理すること

・行政書士が作成できる契約その他に関する書類を代理人として作成すること

・行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずること

・出入国関係申請取次業務

・行政書士又は行政書士法人を派遣先とする行政書士の労働者派遣事業

・行政書士又は行政書士法人の業務に関連する講習会の開催、出版物の刊行その他の教育及び普及の業務

・行政書士又は行政書士法人の業務に附帯し、又は密接に関連する業務

・他人の求めに応じ、ゴルフ場利用税、自動車税、軽自動車税、自動車取得税、事業所税、石油ガス税、不動産取得税、道府県たばこ税、市町村たばこ税、特別土地保有税及び入湯税に関する税務書類の作成

(このように、行政書士は、書類作成の専門家といえます。)

 

弁護士の業務範囲

・訴訟事件に関する行為

・非訟事件に関する行為

・審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為

・その他一般の法律事務

(弁護士は、裁判など訴訟の専門家といえます。)

 

最後まで読んでいただきありがとう御座います、みなさまが行政書士の業務に関して少しでも理解が深まっていただけると嬉しいです。

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